地方自治法第98条2項に基づき議会監査請求を提出。

議会報告 2025年12月7日

こんにちは。土井かずよし(日本維新の会 大阪府大東市および四條畷市支部支部長/四條畷市議会議員)です。

令和7年9月定例議会において提出された 令和6年度四條畷市一般会計決算の認定 を、
10月1日から3日の予算決算常任委員会で審査いたしました。

その審査の過程で、
四條畷市「地区交付金」に重大な不適正が存在することが判明 しました。

そのため、令和7年12月議会において
地方自治法第98条第2項に基づく議会監査請求(議員提出議案) を提出し、
議会選出監査委員(退席)を除く全員の賛成で可決されました。


——議会で判明した事実と法的問題点の整理——

■1 最初に結論

地区交付金の運用は、制度として成立していないほど深刻な不適正が重なっていました。

具体的には、次のような問題が確認されました。

✔ 債権者(団体)ではなく、個人の銀行口座に公金を振込

✔ 税務処理が支払相手ごとにバラバラ(源泉徴収あり/なし)

✔ 個人が「団体名義の領収証」を作成して提出

✔ 団体宛ではなく「個人が市長宛に振込依頼書」を提出

✔ 使途報告書を団体事務を担っているため市職員が作成

✔ 帳簿・証拠書類・実態が一致せず、会計原則が崩壊

✔市が市の代理を務め、市が団体の代理も務めている

✔ 顧問弁護士も「この運用は見直しが必要」と認める

これらが複合し、
会計処理・監査・内部統制が成立しない状態 になっていました。


■2 何が起きていたのか?(事実関係)

(1)本来の交付先は「団体」のはずが、実際は「個人」に振込

地区交付金の債権者は交付要綱上「団体」です。

しかし令和6年度の実績では、

21件中18件が自治会長個人口座への振込
(=団体ではなく個人へ支払)

これは明確に
債権者誤払い(地方自治法232条の5) の疑いがあります。


(2)税務処理の不統一(源泉徴収あり10件/なし8件)

同一の制度なのに、

  • 10件 → 源泉徴収あり

  • 8件 → 源泉徴収なし

という異常な処理が行われていました。

これは、

  • 行政の平等性

  • 税務の適正性

  • 会計処理の統一性

すべてを欠く重大な不適正です。


(3)個人が「団体宛領収証」を作成して提出

自治会長個人が受け取った公金に対し、個人が

団体名義の領収証

を作っています。

この構造は、

  • 団体はお金を受け取っていない

  • 団体会計帳簿に収入が存在しない

  • にもかかわらず帳簿上は「団体が支出した」扱い

となり、
架空計上・帳簿の虚偽記載の疑い が生じます。


(4)使途報告書を市職員が作成していた

本来は団体が作成する使途報告書(要綱第9条)が、

団体事務局を兼ねる市職員によって作成されていた

これは誤解を招くレベルではなく、
団体会計が実質存在しないことを意味します。

説明責任は完全に形骸化していました。


(5)申請書は市長宛・債権者は団体・振込先は個人口座

申請書(様式第1号)は団体が市長宛に提出しています。

しかし、振込依頼では

自治会長個人口座が指定

帳簿上の受領者=団体
実際の受領者=個人

という 名義と実態の乖離 であり、補助金不正の典型構造です。

今回の仕組みを整理すると:

✔ 「交付する側=市」

✔ 「本来、交付される側=地区会長協議会(団体)」

しかしその団体の

✔ 事務局=市(市職員)

✔ 書類作成者=市(市職員)

✔ 審査者=市

✔ 支払手続=市

✔ 監査側=市の組織(監査委員)

となっている。

つまり、

“市が市の代理を務め、市が団体の代理も務めている”

これは民法108条の「双方代理」の構造と一致します。


■3 法的にどこが問題なのか?

(1)地方自治法232条の5

「普通地方公共団体の支出は債権者のためでなければならない」

したがって、
債権者(団体)以外への支払いは違法の疑い があります。


(2)支出命令と支払いが一致していない

行政会計では、

  • 支出負担行為

  • 支出命令

  • 支払い

が同一の債権者に向けられている必要があります。

しかし実態は、

債権者:団体
支払い:個人

という不一致が生じていました。


(3)帳簿・証拠書類・実態の不一致により監査不能

  • 団体会計が存在しない

  • 個人が団体名義の領収証を作成

  • 市職員が使途報告書を作成

  • 税務処理が支払先ごとに違う

これにより、

監査委員が事実確認を行えない状態
→「監査可能性の著しい低下」

に該当します。


■4 まとめ:制度として成立していなかった

今回の地区交付金の運用では、補助金制度の基本要件である

  • 債権者の確定

  • 交付と受領の一貫性

  • 団体会計の整備

  • 証拠書類の真正性

  • 税務処理の統一性

すべてが崩壊していました。

これは単なるミスではなく、
制度として成立していないレベルの構造的不適正 です。


■5 今後に向けて

今回の問題は、令和2年度から複数年度にわたって放置されてきた可能性が高いため、

  • 議会監査請求(地方自治法98条)

  • 必要に応じて住民監査請求(242条)

  • 行政内部統制の抜本改革

が必要です。

市民の税金を正しく使うため、
制度の総点検と改善が求められています。

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